《一級建築士製図試験》令和5年度受験者が押さえたいポイント

一級建築士 製図試験

建築技術研究所 です。

ブログTwitterから建築士試験についてお伝えしています。

特に、製図試験のポイントや考え方について自身の受験経験を基に記事を作成しています。
試験に向けての学習の補助として活用していただけると嬉しいです。

令和5年7月21日(金)に令和5年度製図試験の課題が試験元(建築技術教育普及センター)から【図書館】と発表されました。

今回は、令和5年度の受験者が押さえたいポイントをお伝えします。

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図書館とは

「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は図書室を除く。)をいう。

図書館法 第2条第1講

図書館法による【図書館】の定義は、以上の通りです。

早い話、試験で出題される用途の中でも公共性が高い建築物用途です。

そのため、試験では、【図書館】≒《図書室があるコミュニティセンター》である可能性が高いと思っています。

大面積の室が出題される課題

試験で出題される用途の中でも面積が広い室が出題されやすいと思います。

面積が広い室が出題される時には、以下のことが考えられます。

作図量:少

図書室内の什器等があるとしても、令和4年の集合住宅と比べれば、明らかに作図量は少なくなります。

作図量が少なくなると、最後まで描き上げる受験者は増えるため、作図量が多い年の試験と比べれば、内容勝負の傾向が強くなり、課題で指定されたものの〈ある・なし〉で決着がつく可能性も高くなります。
1つの作図漏れが合否に影響し、それ以外が完璧にできていたとしても、1つ作図漏れがあっただけで不合格になることもあり得ます。

そのため、確実に合格を手繰り寄せるためには、必要なタイミングでのチェックが欠かせません。

建築物全体と室の関係

建築物全体の短辺が4スパンかつ図書室の長辺が3スパン(室面積が250㎡程度)を超える場合、室の向きがある程度決まってきます。

建築物全体の短辺>室長辺 の場合

この場合、建築物全体の向きと室の長辺は、同じ向き(平行)とするとよいです。
理由は、それ以外の空間の残り方を考えた時に整形に残りやすく、共用ホールからその他の室への動線が単純になりやすいためです。

建築物全体の短辺 = 室長辺 の場合

建築物全体の短辺>室長辺 の場合の中で特殊なパターンとして、全体の長辺と室短辺が等しい場合は、室が全体に対して直行方向であっても、空間を整形に残すことができます。

平成30年度(スポーツ施設)

前述の全体と室の向きの関係は、平成30年度のスポーツ施設(プール)の標準解答例を見ていただけると分かりやすいと思います。

1つめの例が全体と室が同じ向きのパターン、2つめの例が全体と室が直行するパターンになっています。

この場合、どちらを選択しても計画は成立するため、それだけで計画の優劣をつけることはできませんが、大空間以外の空間の残り方がどちらが良いのかを受験者が適切に選択すればよかったのです。

図書室の設置階等

図書室については、以下のことが考えられます。

設置階の検討

以前の記事で、”大空間は、○階に配置するのがセオリー”ということはないとお伝えしました。

ただ、今回の課題は、図書室がメインになるため、そのメインとなる室を3階から検討し始めるには、誰もが納得する理由が欲しいと思います。

もちろん、検討した結果、階指定や階指定がある室や屋上庭園との行き来を求められる場合等、条件によっては可能性は0ではありません。

1つとは限らない

図書室は、1つとは限りません。
図書館の実例においても、下階が児童用、上階が一般用等、図書室が複数階に跨る場合があります。

資格学校を利用されている方は、様々なパターンで練習すると思いますが、試験に出題された時に驚かないための準備はしておくべきです。

試験の参考としては、有名な建築家が設計した図書館よりも、自分が住んでいる自治体で複合施設内にある図書館があれば、そちらの方が参考になります。

動線の種類を確認する

図書室内の動線は、主に図書の整理のための管理動線、図書閲覧のための利用者動線です。

また、利用者の動線でも、一般と児童用、AVコーナーやリファレンスコーナーへの動線等、種類があります。特に、児童用の書架周辺は、図書室の中でも賑やかになりやすいため、他のスペースとの関係性をどうするかを考える必要があります。

基礎知識を確認

令和5年度の課題では、まず、図書館に関する学科試験の知識を改めて確認すべきです。

基本的なところでいえば、図書館の書架と閲覧室の関係では、閉架式と開架式に分かれます。
個人的には、素直に開架式の図書室になるのではと思っていますが、前項と同様に知らないと驚いてしまうため、しっかりと確認しておく必要はあります。その他にも、基本的な用語は必ず押さえましょう。

また、図書室の面積は指定されず、必要書架量から書架部分の面積を算出したり、閲覧席数から閲覧のためのスペースの面積を算出したりといったプロセスが必要になります、

その時に、覚えていないと合格するためのスタートラインにも立てないことになってしまいます。

動線やコアの基本

令和5年度の試験は、誰が何と言おうとコミュニティセンター型(ゾーニング型)の課題です。

私が過去に書いた記事の中で、コミュニティセンター型(ゾーニング型)の動線とコアに関する記事を以下にまとめました。

動線の考え方

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コアの考え方

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