製図試験における建築物の平面構成のゾーン分けは、大きく《利用者》と《管理者》に分かれます。
利用者ゾーンを適切に配置するには、管理ゾーンの考え方を理解していることも必要になります。
今回は、エスキスの選択肢が増えるよう、管理ゾーンの基本的な考え方をお伝えします。
【管理ゾーンの考え方の基本】
- 《利用者ゾーン》の配置
- 事務室の受付機能の有無
- 2面接道のローカルルール
※この記事では、《管理ゾーン》にのみ着目して説明しているため、課題要求による《利用者ゾーン》の計画次第では、必ずしも当てはめられない場合もあります。臨機応変な対応をお願いします。
《利用者ゾーン》の配置
試験におけるゾーニングの基本は、《利用者ゾーン》が優先され、その残りが《管理ゾーン》になります。
そもそも《利用者ゾーン》の配置は、どのように決まるの?
《利用者ゾーン》の配置は、敷地周辺が好条件の方に向くように計画します。
ここでいう、”好条件”とは、下図のように〈接道面〉や〈公園(広場)〉などを指します。
反対に、悪条件としては、〈(集合)住宅〉や〈商業施設〉などが挙げられます。
従来、「利用者の外部から建物内への動線は、歩道付きの道路から計画する」というローカルルールがありましたが、近年の試験では、隣接する敷地から直接出入りを計画する問題も出題されており、敷地周辺条件と《利用者ゾーン》の関係は、重要度が増しています。
事務室の受付機能の有無
《管理ゾーン》の配置には、管理室の受付機能の有無が大きく影響します。
受付機能の有無は、どこから判断するの?
受付機能の有無は、要求室の特記事項から読み取ることができます。
試験問題には、事務室の特記事項に『受付カウンターを設ける。』と書かている場合が多く、その場合、事務室に受付機能を求められているため、主出入口に隣接して計画することを基本とします。
つまり、《管理ゾーン》の位置は、主出入口の位置に影響されることになります。
反対に、要求室の特記事項で受付カウンターが独立していたり、各所要室に受付機能があったりする等、事務室に受付機能が求められていない場合は、必ずしも主出入口に隣接する必要はありません。
2面接道のローカルルール
製図試験では、先に挙げた「歩道付き道路からの利用者動線」の他に、「2面が道路に接している場合には、(歩道付きの)幅員が広い道路から《利用者》、他方から《管理者》の動線を計画する」というローカルルールがあります。
これにより、駐車場の計画に影響するだけでなく、内部の管理ゾーンも他方の道路側に寄ることになります。
前項(受付機能)のルールと合わせると、《管理ゾーン》が、最も利用者が集まりやすい交差点の近くに計画することになる場合も少なくありません。
まとめ
この記事の内容は、ひとつの方向性を示しているに過ぎません。課題要求により最適解は変わってきますので、課題文に忠実に進めるよう注意してください。
【管理ゾーンの考え方の基本】
- 《利用者ゾーン》の配置
- 事務室の受付機能の有無
- 2面接道のローカルルール