今回は、コア位置と空間構成についての続編として、《1階・2階(住戸以外)・基準階》の構成におけるコアの考え方についてお伝えします。
- 居住者用に加えて、一般利用者用コアが必要になる
- 一般的なコミュニティセンターであれば管理用コアは不要
- 動線を適切に処理する
共通する考え方
基準階型のコアは、上階(基準階)から決まり、その居住者用コアの位置で下階の大まかな構成が決まることは、2階が住戸でもそれ以外でも共通しています。
詳しくは、前回更新の記事『《一級建築士製図試験》基準階型エスキスの肝!【コア位置と空間構成】』でお伝えしています。
検討が必要になる動線
2階が、住戸からそれ以外に変わった時、検討が必要になるのは、居住者以外の〔一般利用者〕の動線です。
2階が住戸以外のパターンでは、『エントランスホール → コア → 2階ホール → 2階所要室』という動線ができるため、居住者用とは別にコアが必要になります。
このコアの基本的な考え方は、3階建コミュセン型の課題と同じです。
ただし、2方向避難については、《利用者用コア・管理用コア》から《一般利用者用コア・居住者用コア》へと変わるため、一般利用者用コアの配置は、居住者用コアとの位置のバランスを考慮する必要があります。(これとは別に考慮すべき点を後述)
一般利用者用コアと居住者用コアが近づいてしまう場合は、居住者用の避難階段(屋外階段)を使うことも可能ではありますが、2階共用部から避難階段への動線確保のために廊下が必要になることから、内部計画に制約ができてプランが難しくなることがあるため、極力、避けるべきだと考えます。
管理用コアの要否
管理者用コアの要否については、室の用途から決める必要があります。
基本的な考え方として、利用者と分離すべき動線があれば管理者用コアが必要となりますが、普通のコミュニティセンターの用途であれば、物の移動も利用者コアを使えば良いため、管理者用コアを設ける必要はないと考えます。
一般的なコミュニティセンターは、物の移動といっても、利用者が持参したものを利用者自身で運ぶことが多いため、利用者が主に利用する【表の動線】に対して搬入等の【裏の動線】を設ける必要がありません。
管理用コアに限った話ではありませんが、必要以上にコアを設けると各階毎に面積を1コマ程度(40~50㎡)を浪費するため、要求室の面積を確保できなくなる恐れがあります。
動線の処理
近年の製図試験は、受験者自身に動線を適切に処理させる傾向にあり、先述の管理用コアに限らず、建物内外の動線を適切に処理させる問題が出題される可能性が高いです。
今までの課題になかった動線計画を求められた時に慌てないためにも、外部動線は過去の課題の考え方を確実に押さえて試験に臨む必要があります。
まとめ
- 居住者用に加えて、一般利用者用コアが必要になる
- 一般的なコミュニティセンターであれば管理用コアは不要
- 動線を適切に処理する