建築技術研究所 です。
ブログやTwitterから建築士試験についてお伝えしています。
特に、製図試験のポイントや考え方について自身の受験経験を基に記事を作成しています。
試験に向けての学習の補助として活用していただけると嬉しいです。
決められた試験時間の中で階段の計画を最初から検討するのは、時間的に難しいです。
試験で計画することになる階高やスパン割りは、ある程度限られているため、いくつかのパターンをを覚えることが、合格するためには必要になります。
また、階段の不整合は失格項目になるため、安易に考えているとそれ以外がどんなに素晴らしい計画であっても合格できなくなってしまいます。
今回は、そんな階段のパターンや書き方等についてお伝えします。
利用者階段
利用者階段は、「高齢者、障碍者の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー法)」に規定される「建築物移動等円滑化誘導基準」で定められた寸法で計画することになります。
主な規定は、以下の通りです。
試験で計画する利用者階段は、”主な階段”となるため、回り階段とすることはできません。
基本形(階高4m、X:7m,Y:7mのスパン)の場合
また、ここからは、階高4m、X:7m,Y:7mのスパン割りを基準として階段の計画を考えます。
まず、階高4mの場合、段数は、(階高)4,000 / (蹴上)160 = 25段以上となります。
X:7m,Y:7mのスパンで基準に適合する階段にすると、下図のようになります。段数は26段になるため、この計画での蹴上寸法は、15.38cmです。
なお、これ以降に掲載する階段を含むコマの例の中でエレベーターを点線表示していますが、参考例であり、必ずしも階段とエレベーターが隣接しているとは限りません。
計画の基本
次に階高が変わった場合を考えていきます。
階高4.5m以上の場合、26段では、蹴上寸法が16cm以上になってしまうため、1.5回転で計画します。
また、前項の階段をそのまま1.5回転とすると段数が39段になりますが、階高4.5mや5.0mの場合39段では、蹴上寸法が小さくなり過ぎるため、段数を調整します。
4,500 / 160 = 29段 ,5,000 / 160 = 32段 までは、減らすことができますが、作図のしやすさを考慮すると下図のように39段から6段減らして33段でよいと思います。
なお、1.5回転とする場合は、下図のように図面中に表記しなければ、不整合と判断される可能性があるため、忘れずに書きましょう。(こういう部分を最終のチェックで確認します。)
6mスパンの場合
基本よりもスパンが短い6mの場合では、2つの考え方があります。
結論から申し上げると、階段短辺のスパンが6mの場合と階段長辺のスパンが6mの場合です。
個人的な見解としては、階段長辺が6mになると考えることが増えるため、階段長辺は必ず7m以上と決めておくと試験本番で失敗がするなくなると思います。(詳細後述)
しかしながら、階段長辺を6mにせざるを得ないパターンでしか解けない問題が出た時に手も足も出なくなってしまうため、このバターンの練習も必要です。
階段短辺のスパンが6mの場合
階段短辺のスパンが6mの場合は、7mの場合と基本的には変わりませんが、エレベーターも同じコマの中で計画する場合は、幅員を調整します。
階段長辺のスパンが6mの場合
階段長辺のスパンが6mの場合は、段数を確保するためにこれまでの形から少し変わります。
このパターンの場合は、中央に吹抜けができるため、その部分の床面積を控除しなければならず、試験本番でミスしやすいため、あまりおススメしません。
管理者用階段
管理者用階段は、建築基準法施行令第23条に規定さてた寸法で計画します。
一般的には、表中の(3)の寸法になります。
階高4mの場合
利用者用階段と同様に、階高4mを基準として階段の計画を考えます。
計画の基本
階高4mの場合の段数は、(階高)4,000 / (蹴上)200 = 20段以上になります。
一般的には下図のように計画します。
管理者用階段の長辺は5mのため、下図のように7mスパンの場合は2mの廊下とセットで考えることができますが、6mスパンの場合は、残りの寸法が1mになってしまうため、階段長辺を6mにしたり、EPSを計画したりします。
階高4m以外の場合
階高4m以外の場合を検討するために、それぞれ必要な段数を確認します。
利用者用階段と同様に段数が増えた時は、1.5回転にして対応することを基本としますが、階高が4.5mの場合は、4mの場合から3段足せばよいため、踊り場を回り階段にすれば対応できます。
管理者用階段は、それに隣接しやすいエレベーターやEPSの納まりを考慮すると、階ごとに入口の位置が入れ替わる1.5回転にするよりも段数を増やして対応する方が考えることが減るため、試験本番でのミスを減らすことができます。
まとめ
利用者用階段
管理用階段