建築技術研究所 です。
ブログやX (Twitter)から建築士試験についてお伝えしています。
特に、製図試験のポイントや考え方について自身の受験経験を基に記事を作成しています。
試験に向けての学習の補助として活用していただけると嬉しいです。
- 面積調整は、建築物長辺から
- 不均等なスパンは、X,Y方向のどちらか
- 2,3階(共用)ホールを含む部分で調整する
- 近似する面積の室を重ねて調整する
スパン調整の基本
一級建築士試験の計画におけるスパン割りの基本は、でX方向:7m,6スパン、Y方向7m4スパン(建築面積:1,176㎡)が基本になります。(その他の詳細は、別記事参照)
試験での計画を完成させるためには、X,Yとも7mの均等なスパンだけではうまくいかないことも多く、一部のスパンを調整することが必要な場合があります。
今回の記事では、エスキスの考え方の中からスパンの寸法を調整する場合のコツについてスパンの調整が必要になるいくつかのパターンを挙げて、考え方をご紹介します。
※スパンの寸法を決めるのは、複合的な考え方が必要になるため、あくまで一例です。
スパン調整の基礎知識
- 面積調整は、建築物長辺から!
- 不均等なスパンは、X,Y方向のどちらか!
面積調整は、建築物長辺から!
面積を調整する場合、長辺側を調整するより短辺側を調整する方が室面積への影響が大きく、難易度が上がるため、長辺側を調整することから考え始めると良いです。
(計画の内容によっては、短辺側を調整した方が良い場合もあるため、あくまでも”考え始める“のは長辺側からで結果的に短辺側になることもあります。)
近年の標準解答例は、短辺を調整している例が多く、個人的には、難しいことをやっているなと思っています。
不均等なスパンは、X,Y方向のどちらか!
不均等なスパンとする場合、X方向・Y方向の両方を調整するのではなく、どちらかを調整することで納まることが多いです。
X,Y両方を調整すると1コマの面積が3種類以上できてしまうため、所要室の面積等を間違える原因となり、おすすめしません。
ちなみに、7mと6mを両方で混在させると、1コマの面積は、49㎡(約50㎡)、42㎡(約40㎡)、36㎡(約40㎡(下限))の3種類になります。
また、両方のスパンを調整しなければならない計画となっている場合は、何かが間違っている可能性が高いため、計画を見直すことをおすすめします。
標準解答例でも不均等なスパンの例は見られますが、X方向・Y方向の両方を調整している解答例はなく、どちらかのスパンを調整しています。
※なお、X方向とY方向の1スパンの寸法は同じとは限りません。(X方向:7mを6スパン・Y方向:6mを4スパン等)
受験テクニックとして
試験は、時間との勝負でもあるため、時間が足りなくなった場合は、完成させることを優先させることも必要です。
この場合、失格項目(延床面積、建築面積等)をクリアできていれば、所要室の面積指定から多少、外れていても減点覚悟で進むことが正解だと思います。
建築物長辺の寸法を1m減らしたい場合
建築物長辺の計画可能な寸法が41mの場合や建築物全体で約80㎡減らしたい場合等には、長辺を1m減らす(7mの均等スパンであれば、1つを6mにする等)ことがあります。
この場合、建物中央部の2,3階(共用)ホールを含む部分で調整することから考えるとうまくいきやすいです。
これは、共用ホールを含む部分で調整することで、所要室への影響を極力減らすことができるためです。
なお、階段を含むスパンの寸法を調整することもあります。このような時のために、スパンや階高別に様々なパターンの階段を描けるように練習が必要です。
短辺を調整する場合も、所要室への影響を考えると同様のことが言えます。
大空間の面積を調整する場合
例えば、大空間が40㎡形、他の所要室が40㎡形と50㎡形が混在する場合、大空間を配置した建築物の長辺側を調整して、大空間に40㎡形の所要室を重ねるときれいに納まります。
その他に、大空間が40㎡形で面積指定がある屋上庭園が40㎡の場合、大空間1階(2階までの吹抜け)、屋上庭園3階の構成にするとうまくいきそうだと予想することもできます。
まとめ
- 面積調整は、建築物長辺から
- 不均等なスパンは、X,Y方向のどちらか
- 2,3階(共用)ホールを含む部分で調整する
- 近似する面積の室を重ねて調整する