《一級建築士製図試験》エスキスで重要!【不必要にクランクした廊下の問題点】

一級建築士 製図試験

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今回は、学習初期に起こりやすい失敗の中から、不必要にクランク下廊下の問題点についてお伝えします。

不必要にクランクした廊下の問題点は、以下の3点。

  1. 空間構成の検討が不十分
  2. 避難距離が長くなる
  3. 作図の手数が増える
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空間構成が不十分

一番の問題は、空間構成の検討が不十分であるということです。
空間構成は、製図試験の中でも重要な項目であり、採点の比重が高いとされているため、自分のエスキスで廊下が不必要にクランクしている場合は、他にもっと良い計画がないか再検討すべきです。

この原因は、エスキスでの室の配置順序を理解できていないことにあります。

以下の2点に気を付けてエスキスをするだけで、この問題は大きく改善します。

  1. 大きな(重要な)室を建築物の隅から配置する
  2. 室を配置したら、共用部への単純な廊下を通す

詳しくは、別記事にまとめていますので、参考にしてみてください。

重複距離が長くなる

次に、動線(廊下)が長くなることで、単純に利用者の室(居室)からの避難距離(重複距離)が長くなることが問題となります。

廊下がクランクする失敗は、建築物の隅に面積が大きくない室を配置した時に起こりやすいため、共用部への単純な廊下が計画されていても重複距離がギリギリであることも多いです。ここに、無駄に長くなった廊下が加わると重複距離でNGになってしまう可能性が高くなります。

(別記事でご紹介した通り、”大きな室を建築物の隅から”が基本になるため、さほど大きくない室を建築物の角に配置する計画自体を見直す必要があると思われます。)

また、重複距離がNGになったことを作図に移行してから気づいた際の苦肉の策として、避難階段を設けることがあります。しかし、作図の手数が増えること(後述)はもとより、本来必要でない階段が計画されることは、計画の妥当性に欠けるため、そうならないためにチェックの工程を考える必要があります。

1/400のエスキスでは、正確に避難距離が分からない場合もあるため、廊下がクランクしていない時でもNGの可能性がある場合には、エスキスの段階で1/200にして検証することが効果的です。
そのための時間はかかりますが、作図に移行してからの手戻りを考えればよっぽど効率が良いです。
特に、テーブルや椅子等が多いレストラン・カフェ、図書棚や閲覧席がある図書室等、避難時に簡単に動かせない什器がある室の避難距離がその階で最も長くなる場合は、予め検証すべきだと思います。

作図の手数が増える

最後に、線の本数(=手数)が増えることで作図に時間がかかることです。

クランクした廊下は、単純な廊下よりも描かなければいけない線の本数(手数)が増えるため、試験時間的に不利になります。

クランクした廊下は、縦と横の線が組み合わされることからその数が多いだけ作図時間に反映されます。

作図を速くするために、作図作業そのものの効率を上げる(考える時間と作業する時間を切り離す)ことが重要になりますが、手を動かす速さだけに期待するのは限界があるため、試験時間をトータルで見た時には、計画の内容も作図時間に大きく影響します。

まとめ

不必要にクランクした廊下の問題点は、以下の3点。

  1. 空間構成の検討が不十分
  2. 避難距離が長くなる
  3. 作図の手数が増える
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