《一級建築士製図試験》エスキスで重要!【ボリュームとスパン割りの考え方】(前編)

一級建築士試験

建築技術研究所 です。

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今回の記事は、エスキスについてです。

一級建築士製図試験のエスキスの中で、ボリュームの検討は、計画の基本となる重要な部分です。

受験者の皆さんは、資格学校等を通じてエスキスの手順を確立していくここと思いますが、今回の記事では、その過程での考えるべきことの基本的な知識をお伝えしたいと思います。

この記事の内容は、ある程度エスキスの手順が身についていることを前提としているため、手順に自信がないと思われる方は、エスキス手順がある程度身についてから改めて読んでいただけると理解が深まります。

  • ボリューム検討は、[全体]:最大から室面積に合わせて小さくする、[所要室]:最小から建築物全体に合わせて大きくしていくとスムーズに進められる
  • 基本のスパン割り及びその時の面積(1,176・1,008)を暗記する
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ボリューム検討の基本

ボリュームの検討は、大きく分けて[計画全体(延べ床面積)][所要室]の2つがあります。

計画全体

計画全体のボリュームの検討は、課題で指定された最大限の面積が確保できるように計画を始めます。

最大限の面積を確保できるように計画を始めないと、実際に各室を計画していく際に、面積が足りなくなる可能性があります。

また、実際の検討では、敷地面積から駐車場や地上の広場等を除いた範囲(計画可能範囲)の面積と指定面積を比較し、小さい方を採用します。

所要室

所要室の面積検討は、課題による指定面積の下限値から、検討を進めながら大きくしていくと計画が納まりやすいです。

具体的には、指定面積が「○○㎡以上」であれば、その面積(○○㎡)から検討を始め、「約△△㎡」であれば、△△×0.9㎡程度から検討を始めます。

双方の流れ

実際の検討では、[計画全体][所要室]の面積を調整しながら進めていくため、最大限確保した全体のボリュームに最小限で設定した各所要室を配置して、余った面積がある場合には、①全体の面積を小さくする / ②室の面積を大きくする のどちらかを行います。

どちらかと言えば、全体の面積が上限値以下であるのであれば、②の室の面積を調整する方が簡単です。
また、室の面積を調整する作業は、単純に間仕切壁の位置を動かすというよりも柱のスパン割りを調整する方向で考えた方が、計画がスマートに見えます。
ただし、余ったスペースがたくさんあると空間構成ができていないように感じるため、その場合は、全体のボリュームを小さくします。
※あまりに所要室の面積に対して建築物全体の面積が過剰になっている場合、全体ボリュームの検討が適切に行われていないため、その部分まで戻って再検討することをおすすめします。

スパン割りの基本

建物全体の面積を検討するうえでは、X方向7m×6スパン・Y方向7m×4スパンのスパン割りが基準となります(以下、基本スパン)。長辺(X方向)が少し短くって6m×6スパンの場合と合わせて暗記しましょう。

( 7 × 6 ) × ( 7 × 4 ) = 1,176㎡
( 6 × 6 ) × ( 7 × 4 ) = 1,008㎡

これを覚えていることで、全体のボリューム検討の際に建物全体の寸法の当たりを付けやすくなります。

これを延床面積にすると、3階建の課題の場合、
1,176 × 3 – ( 吹抜 + 大空間上部 ) = 3,528 – ( 吹抜 + 大空間上部 ) となり、実際に吹抜けと大空間の面積を入れて計算すると約3,000㎡となります。

そして、この検討結果が課題の指定面積より大きい場合は、基本スパンからスパン割りを調整する必要があるということです。

また、計画可能範囲が基本スパンの面積(1,176㎡)よりも小さい場合、全体のボリューム検討は、

計画可能範囲MAX × 3 – ( 吹抜 + 大空間上部 )で検討します。

まとめ

  • ボリューム検討は、[全体]:最大から室面積に合わせて小さくする、[所要室]:最小から建築物全体に合わせて大きくしていくとスムーズに進められる
  • 基本のスパン割り及びその時の面積(1,176・1,008)を暗記する
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