基準階型の課題では、そうでない低層階型の場合とは、コアの考え方が変わってきます。
以下の2つの記事は、低層型の計画でのコア配置について書いた記事です。
また、以前の記事では、令和3年度の試験課題「集合住宅」の場合のコアの考え方についてお伝えしています。
基本的には、この考え方と概ね変わりませんが、若干違う部分もあります。
今回は、集合住宅の記事を基に事務所ビルと共通する部分、異なる部分をそれぞれお伝えしていきます。
共通する考え方
コア位置の決定順序、基本的な動線の考え方は、醜状住宅でも、事務所ビルにも共通しています。
コア位置の決定順序
基準階型の課題では、用途は問わず、【基準階の構成】→【コア位置の決定】→【低層階の構成】の流れで建築物内の構成を決めるため、コア位置は、基準階の構成が反映されます。
動線の考え方
「利用者動線」の考え方
基準階型の課題では、基準階を利用する人と利用しない人で2種類の階を跨ぐ縦の動線ができます。
そのため、基準階利用者用のコアと低層階利用者用のコアが分かれることになります。
この時、平面的な動線も分離されることになります。
管理動線の考え方
基準階部分には、「管理動線」は存在せず、方向避難のための避難階段を設けるのみです。
そのため、低層階部分(1,2階)で2階に管理(搬入)動線が無い限り、管理コアは必要ありません。
反対に、管理(搬入)動線がある場合には、1,2階のみの管理コアが発生します。
ただ、1,2階用の管理コアを計画すると、全体でコアが4つでき、面積を浪費して構成が難しくなるため、管理(搬入)動線が必要な室を配置し、2階への管理(搬入)動線がない構成とするのがセオリーです。
異なる考え方
集合住宅の場合、基準階の構成は、住戸、廊下、居住者用コアとなりますが、事務所ビルの場合は、事務室と”コア”と呼ばれる、階段・エレベーター・給排水設備(トイレ、給湯室)配管スペースなどのまとまりを設けることになります。
(ここでいう”コア”は、製図試験で一般的に使われる階段・EVのまとまりとは、別物です。)
とりわけ、製図試験の課題では、「偏心コア」と呼ばれる構成とすることが多く、その構成が、階段・EVと同様に基準階以外の構成に影響を与えます。
少し難易度を上げて中央コアとなりやすい課題が出題される場合もあるため、どちらでもできるように練習しておきましょう。
集合住宅の場合、1階の居住者用ゾーンの構成は、居住者用コア以外は比較でき自由に計画しやすいのに対し、事務所ビルの場合は、基準階の”コア”の構成が、ほぼそのまま1階まで影響します。
この部分を意識してエスキスを始めることで、一般利用者のゾーニングや基準階利用者・一般利用者の外部からの動線を決めやすくなります。