建築技術研究所 です。
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学生から建築の勉強をしていても、【積算】は、基本的に取り扱われません。
そのため、実務で積算をする機会がないと、イメージできない人もいるかもしれません。
そこで、今回は、学科Ⅰ(計画)の中から、【積算】についてまとめました。
- 積算における「数量」には、《設計数量》《所要数量》《計画数量》がある
- 価格の構成は、直接仮設費が基となり、それに共通仮設費や各経費が積上げられる
- 積算上、「考慮するもの」と「考慮しないもの」がある
- 開口部の基準数量は、「加工のしやすさ」で決まる
「積算」における数量
積算における数量は以下の3種類があります。
- 設計数量
- 所要数量
- 計画数量
設計数量とは
設計数量とは、設計図書に表示されている個数や寸法から求めた正味(NET)の数量をいい、切り無駄を含まない数量をいいます。
所要数量とは
所要数量とは、設計数量に加えて「定尺寸法による切り無駄」や「施工上やむを得ない損耗」を含んだ数量をいいます。
計画数量とは
計画数量とは、設計図書に示されていない施工計画に基づいて算出した数量をいいます。
この数量は、土工事等の積算に用いられ、施工計画により変動します。
価格の構成
建築工事における価格の構成は、下図の通りです。
- 建築物の建設をするために直接必要な費用で、材料費、施工手間、下請経費等を含んだものです。
- 共通仮設に掛かる費用のことです。現場事務所や工事用動力等がこれにあたります
共通仮設は、積上げにより計算するか、統計値を用いて算出されます。
土工事
土工事の積算は、下記の基準に則って《計画数量》を算出します。
作業上のゆとり幅
根切の作業場のゆとり幅は、【0.5m】を標準とします。(土間、犬走りは《0.1m》)
この【0.5m】とは、このあと捨てコン打設して、型枠を組むためのスペースです。
根切りの余幅
山留めを設けない場合は、「作業上のゆとり幅」に「法幅の1/2を加えた幅」が標準です。
山留めがある場合は、【1.0m】を標準とします。
土量の計算
土工事の積算において、土量の計算は、締固めによる体積の変化や杭余長による減少は、ないものとして計上されます。
考慮するもの・考慮しないもの
積算上で考慮するもの・考慮しないもの、それぞれの主なものを挙げます。また、開口部についての算入・非算入は次項によります。
考慮するもの
階段、基礎、柱及び梁:定着や重ね長さを加えます。
割増し係数:鋼板 3%、鉄筋・ボルト類4%、鋼管5% を加えます。
考慮しないもの
あばら筋(STP)、帯筋(HOOP)のフック
→積算上は、躯体寸法とします。
防水材の欠除、これら周囲の処理、シート防水の重ね
開口部の算入・非算入
開口部の算入・非算入基準は、以下の通り、《0.1㎡》と《0.5㎡》の2種類があります。
覚え方のポイントは、【加工のしやすさ】です。
一般に、後から加工しにくい(できない)ものは《0.1㎡》が基準となり、現場で加工が可能なものは《0.5㎡》が基準になっています。
鋼材 / ダクト孔
型枠 / コンクリート / 仕上げ
まとめ
- 積算における「数量」には、《設計数量》《所要数量》《計画数量》がある
- 価格の構成は、直接仮設費が基となり、それに共通仮設費や各経費が積上げられる
- 積算上、「考慮するもの」と「考慮しないもの」がある
- 開口部の基準数量は、「加工のしやすさ」で決まる