一級建築士製図試験は、6時間半という短い時間で計画~作図までを終えなければいけません。
そして、時間内に完成させるためには、作図速度の向上が鍵を握ります。
そこで今回は、製図試験で図面を早く描く方法についてお伝えします。
製図試験で図面を早く描く方法
製図試験で図面を早く仕上げる方法は、「考える時間」と「作業する時間」を切離することです。
(具体的には、「考える時間」は、読取を含むエスキス及び作業後のチェック「作業する時間」は、作図する時間を指しています。)
なぜそのように考えるのかを順を追って解説します。
「線を引く作業」の速度に大差はない
線を引くスピードそのものは、ある程度の練習をしている受験者であれば、大差はありません。
(もちろん、ここで差が付いてしまっている受験者はもっと練習する必要があります。)
そのため、作図時間中に「考える時間」が生じて手が止まっている時間を減らせば、誰でも図面を早く描くことができます。
なぜ手が止まるのか
手が止まる理由は、エスキスが完全でないからです。
本来は、プランの下書きを描いた段階で詳細まで計画が練られている必要があります。
しかし、エスキスに時間がかかりすぎることで、焦って作図に移ろうとします。
これが原因で作図中に手を止めて考えてしまうのです。
どうしたら早くエスキスを終えられるか
1つ目は、最初の読取りに時間をかけすぎないこと、
2つ目は、70~80点レベルのエスキスで諦めることです。
最初の読取りは、本当に重要な空間構成に関わる部分のみに蛍光ペン等でラインを引きながらを付けながら読んでいきます。
課題文の読取りの際には、すべてに目を通しますが、エスキスは、自分の記憶力を過信せず、常に課題文を確認しながらエスキスを進めていきます。
そのように進めることで、最初の読取り時間を少なくすることができます。
また、平面計画では、利用者のゾーン及び室の配置順序を意識することで、より良いエスキスが出来るようになります。
そもそも、製図試験は100点を目指す試験ではなく、受験者全体の上位3割に入ることを目指す試験です。
そのため、合格に近づくためには、上位3割に入れる程度(70~80点程度)のエスキスを、いかに短い時間で仕上げるかが勝負になります。
エスキスにミスは付き物
課題文を確認しながら進めたつもりでも、エスキスをひと通り終えた段階では、少なからず常にミスをしています。
そのため、作図に入る前に確認して、プランの精度を高めていく必要があります。
そして、精度が高いエスキスをもって作図に移行します。
後は線と記号を描くのみ
この段階まで来たら、冒頭に挙げた通り、「考える時間」と「作業する時間」を切り離し、作業に徹します。
この時、図面は線と記号の集合体として捉え、深くその意味をあまり考えません。
無心で描き上げます。
また、後で修正可能なミスであれば、作図中に気づいても修正せずに先に進みます。
《描く》という作業は、繰り返しによる身体的学習によりパフォーマンスが向上します。
考えないで作図するからこそミスしている
図面は先述の通り、無心で描き上げているため、絶対にミスしています。
また、そのミスは、いつも同じような部分で起こっています。
そのため、ある程度、練習課題を熟した後、自分の『癖』を分析し、それに応じた自分だけのチェックリストを作成します。
チェックリストを作成することにより、減点を最小限に抑えることができます。
まとめ
- 図面を早く仕上げるには、「考える時間」と「作業する時間」を切離す
- エスキスは、時間をかけ過ぎず、70~80点程度の出来で先に進む
- 作図は、線と記号を描くだけで他のことは考えない
- エスキス・作図それぞれで必ずミスしているため、確認することでリカバリーする
- ミスする部分はいつも似ているため、自分だけのチェックリストを作成するのが効果的
試験の最終目標は、合格することであり、そのために何をすべきかを考えると、このような進め方が最も合格に近づけると考えています。
また、常に自分を疑うこと、適切に妥協することがあなたを合格に近づけます。