建築技術研究所 です。
ブログやTwitterから建築士試験についてお伝えしています。
特に、製図試験のポイントや考え方について自身の受験経験を基に記事を作成しています。
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今回は、一級建築士製図試験の中から、苦手とする受験者が多い【階段】のパターンを把握する重要性についてお伝えします。
- 【階段】は、どんな課題でも共通して必要な知識。
- 試験時間の中で一から階段の寸法を検討することは、大きなタイムロス
- 覚えている計画パターンが少ないと、試験が難しく感じる
基本的な内容
製図試験において、【階段】はどんな用途の建築物にも必要になる基本的な内容です。
そのため、過年度受験者にとっては、7月の課題発表前に練習できる一方で、計画の不整合は失格(ランクⅣ)になる重要な項目でもあります。
また、【階段】の計画を苦手とする受験者も多く、習熟度の差が出やすい項目でもあります。
階段計画の詳細は、別記事にまとめていますので、参考にしてください。
パターン把握の重要性
試験時間の中で一から階段の寸法を検討することは、大きなタイムロスとなるため、合格を目指す受験者にとって、望まれることではありません。
前述のとおり、課題発表前から対応できるものであるため、学習早期にさまざまなパターンを把握することが、合格には不可欠です。
また、試験本番では、受験者自身が把握しているパターンから最適なものを選ぶことになります。
このとき、覚えている計画パターンが少ないと、試験本番での計画の自由度が下がり、自分自身で試験を難しくします。(詳細は次項)
そのため、奥行き6m~8m(1m毎)× 階高4.5m~6.0m(0.5m毎)の各パターンくらいを覚えるとエスキスが楽になります。
《一級建築士製図試験》基本の積上げ!【階段のパターンと描き方】
また、階段が1.5回転となる計画は、各階で階段室の出入り口の位置が互い違いになるため、平面計画に慣れる必要があり、ある程度の練習が必要です。
(『1.5回転』と書き忘れると、計画の不整合とみられることもお忘れなく!)
使える階段のパターンが少ないと…
使える階段のパターンが少ないと以下のようなことが起こります。
例1)1.5回転や2回転の階段を練習していないから、階高を上げられない
例2) 特定のスパンでしか練習していないから、階段を含むスパン寸法を自由に決められない
例1 階高を上げられない
この場合、まず、『階高を少しだけ上げたい。でも、通常の階高では納まらない』となったとき、対象の室を2層にせざるを得なくなります。
このとき、対象室の上部は別の室を配置できなくなるため、建築面積あたりの計画できる延べ床面積が少なくなります。
そのようになると、計画建築物全体のボリューム構成及び対象室の上階の平面計画に影響が出て、要求室の床面積が建築面積に対して多い場合、所要室の要求面積が足りなくなったり、最悪、室を計画できなくなったりします。
例2 スパン寸法を自由に決められない
スパンの寸法は、所要室の要求面積から最適なものを採用し、スパンの寸法は均一とは限りません。
しかしながら、特定のスパン寸法しか練習していないと「7mのスパンでは階段を計画できるけど、6mのスパンでは階段を計画できない!」というようなことが起き、階段を配置できる位置に制約ができてしまったり、特定の寸法でしかスパン寸法を採用できなくなったりします。
その場合、階段を配置するスパンを含む要求室の面積が適切に設けられなくなるため、室の配置にも制約ができてしまいます。
まとめ
- 【階段】は、どんな課題でも共通して必要な知識。
- 試験時間の中で一から階段の寸法を検討することは、大きなタイムロス
- 覚えている計画パターンが少ないと、試験が難しく感じる