建築技術研究所 です。
ブログやX (Twitter)から建築士試験についてお伝えしています。
特に、製図試験のポイントや考え方について自身の受験経験を基に記事を作成しています。
試験に向けての学習の補助として活用していただけると嬉しいです。
今回の記事では、エスキスで重要なポイントの中から、コア位置の決め方についてお伝えします。
- エスキス以前にコアを仮置きする
- 利用者が使用する室を計画した後にコアを計画する(例外あり)
- 利用者用コアと管理者用コアは偏らないよう注意する
コア位置の計画
コア位置の計画は、所要室の計画にも影響を与えるため、配置のタイミングが重要になります。
受験者の中には、コア位置を決めるタイミングが分からないという方も少なくないでしょう。
そのような方の多くは、1/400のエスキスの時点で初めてコア位置を考え始めているのではないかと思います。
コア位置は、利用ゾーンと管理ゾーンの大まかなゾーニングをした時点で、目安となる位置を決めることができるため、その位置を考慮(仮置き)しながら所要室を計画していくと、コア位置に迷うことなく計画を進められます。
【コア位置の仮置き】
↓
《利用者の室の配置》
↓
【コア位置の本決め】
↓
《その他の室の配置》
コアの仮置き
コア位置は、前述の通り、計画の諸条件から1/400エスキスを開始する時点である程度決まっています。
そのコア位置のパターンは、大きく分けて4種類あり、詳細は、別記事でご紹介しています。
試験で計画する建築物のコアは、概ねどんな用途でも同じような位置で計画が可能です。
これらの位置を考慮して所要室を計画していくことでコア位置を迷うことなく決めることができます。
コア位置の本決め
建築物の計画は、利用者が使用する室(特に面積が大きな室)が優先されます。(別記事参照)
コア位置の本決めは、原則この後になります。
利用者が利用する室の中でも、1コマ未満の室の優先度は、コアより下である場合も多いため、課題の条件に合わせて臨機応変に対応してください。
コア位置のポイント
基本的に利用者用コアは、外部条件から決定する主出入口の近くに配置されます。
一方で、管理者用コアは、搬入を考慮して道路位置等の外部条件で位置が決まる場合と外部の好条件を利用者ゾーンとした残りを管理ゾーンとして決める場合のどちらかで管理ゾーンが決定し、そのゾーン内に配置されます。
そして、利用者用及び管理者用のコアは、建築物長辺の中心を軸として偏らないように配置することがポイントです。
これが偏ってしまうと、避難の重複距離がNGになってしまう場合が多いため注意が必要です。
室や部門専用の階段がある場合も、建築物全体への直通階段にならない場合が多いため、基本的には共用のコアのみで避難距離を検討することをお勧めします。
また、試験で計画する建築物の利用者用コアは、1階以外でコアよりも外部側に空間が残ると計画の難易度が上がり、空間構成を乱す原因になるため、上階のスパン数を減らしている場合を除き、外周部に配置されます。
まとめ
- エスキス以前にコアを仮置きする
- 利用者が使用する室を計画した後にコアを計画する(例外あり)
- 利用者用コアと管理者用コアは偏らないよう注意する