内部計画の難易度が高くない課題では、建物以外の要素で課題の難易度が調整されることが多いです。
その『建物以外の要素』の中でも試験元が出題しやすいもののひとつが《駐車場》です。
出題しやすい理由として、《駐車場》は、平面的なボリュームに影響を与えるだけでなく、外部から内部にかけての動線の理解を測ることができるため、採点の基準としやすいことが挙げられます。
そこで、今回は、《駐車場》によって【空間構成】を崩さずにエスキスするための基本的な考え方を示したいと思います。
- 車いす使用者用駐車場には、寸法に決まりがある
- 駐車場から出入口までの動線を確保できる位置とする
- 【自分で決めたこと】と【課題で求められていること】を適切に把握する
- 自分で要求のレベルを上げない
駐車場の基本
一級建築士製図試験における駐車場の種類は、大きく分けて〈管理用(以下SP)〉〈一般利用者用(以下NP)〉〈車いす使用者用(以下HP)〉の3つがあります。
このうち、 〈SP〉〈NP〉 の寸法に法規的な制約はなく、常識的な寸法とすれば良いのに対し、 〈HP〉 は、その幅に明確な基準があるので、その基準を厳守する必要があります。
詳しくは、別記事『《一級建築士製図試験》エスキスで重要!【平面計画における駐車場の考え方】』でご紹介しておりますので、ご参照ください。
ちなみに、感覚的に駐車場の寸法が分からない方は、ご自身の車や街でよく見る車の寸法を測ってみるといいです。
配置の考え方
配置計画の大前提として、各駐車場から建物出入口(HP,NPであれば主出入口、SPであれば管理用出入口)への動線が確保できる位置ということがあります。そのうえで、それらの動線が交錯しないことが求められます。
また、利用者が使用するHP,NPは、駐車場から主出入口までの動線で車路を歩く部分が極力無くなるように計画する必要があります。特に、要求された駐車場の台数が多い場合は、車路を歩かなければいけない計画となりやすいので注意が必要です。(このような動線計画で合否が決まる可能性もあります。)
自分で考えたこと
前述のように駐車場を計画すると、必然的に出入口の近くに計画したくなります。
それは、もちろん正解です。ただし、”出入口の近くにー”というのは、自分で勝手に決めたことです。
建物外形が極端に不整形なったり、建物のボリュームが確保できない場合には、考え方を変えなければ合格できません。
求められていること
駐車場の計画で最低限で求められていることは、「配置の考え方」冒頭で挙げた、『駐車場から出入口までの動線』です。
そのため、 ”出入口の近くにー” という自分で決めたことから”動線が取れていればよい”程度にレベルを下げて考えてください。
そうすることにより、必ず計画が進めやすくなります。
特に、多台数の駐車場が出題された場合には、消費する平面的ボリュームが大きいため、〔要求のレベルを自分で上げない〕ということを意識すると、速く、簡単に計画ができるようになります。
また、各資格学校の練習課題や過去問の内容を把握し、自分が得意なパターンを持っておくことも、試験対策としては必要です。
思い込みは最大の敵
駐車場の計画に限らず、〔思い込み〕や〔自分で要求のレベルを上げること〕は、この試験にとって最大の敵です。
常に、素直に課題文が読めるように、出来るようになるまで練習しましょう。
課題文は、試験元から渡される【合格までの道のりが描かれた地図】です。
素直に寄り添うことで必ず合格が見えてきます。がんばりましょう。
まとめ
- 車いす使用者用駐車場には、寸法に決まりがある
- 駐車場から出入口までの動線を確保できる位置とする
- 【自分で決めたこと】と【課題で求められていること】を適切に把握する
- 自分で要求のレベルを上げない