建築技術研究所 です。
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今回は、学科Ⅳ(構造)の過去問の中から、分割・到達モーメントのモーメント図について、試験的な考え方を解説します。(H25年度No.3)
著作権等の理由から、本記事では、試験問題を掲出しておりません。
以下のリンクより「過去の試験問題等(公益財団法人建築技術教育普及センター)」をご参照ください。
- 応力の伝わり方を理解する
- 変形の特徴を理解する
分割モーメントと到達モーメント
【分割モーメント】は、部材の剛性に応じて分配される曲げモーメントです。
また、分割モーメントが部材に生じると、節点側でその曲げモーメントを戻そうとする曲げ戻しの応力が生じます。それが、【到達モーメント】です。

基礎知識
以下、各部材を便宜上、下図のように呼びます。

この問題を解くうえで必要になる基礎知識は、以下の3つです。
- 剛性が大きい部材ほど、多く応力を負担する。
- 外力により部材が変形しても、剛接合部分の角度は変わらない。
- 到達モーメントは、分割モーメントの1/2
注目するポイント
この問題を解くうえで注目するポイントは、以下の2つです。
- 剛性が異なる部材の応力比
- 部材の変形
剛性が異なる部材の応力比
まず、部材の剛性を確認します。
この問題では、B部材が[EI]、C部材が[2EI]であるため、B部材:C部材の剛比は、1:2になります。
ここで、選択肢を確認すると、剛性がことなる部材にもかかわらずモーメントが等しい①が正答肢ではないことが分かります。
また、前項「基礎知識」で挙げた、到達モーメントと分割モーメントの関係から、それらが等しくなっている②が正答肢ではありません。
部材の変形
次に、部材の変形ををイメージします。

変形をイメージすると、上図のようにC部材の上部は左側が引張側となる変形をします。
これを踏まえて選択肢を確認します。
③、④でC部材の上部が適切なのは③であり、③が正答肢であることが分かります。
ただ、この問題の場合、部材の変形を先にイメージするとC部材の上部の左側が引張側となっている選択肢が③しかないため、モーメントの大きさを検討する必要なく、正答肢を選ぶことができます。
このように、4つの選択肢を見比べて、1つだけ異なる部分がある場合、その部分を検討するだけで正答肢を見つけられることもあり、解答時間を短縮するための受験テクニックとして有効です。
まとめ
- 応力の伝わり方を理解する
- 変形の特徴を理解する