建築技術研究所 です。
ブログやX (Twitter)から建築士試験についてお伝えしています。
特に、製図試験のポイントや考え方について自身の受験経験を基に記事を作成しています。
試験に向けての学習の補助として活用していただけると嬉しいです。
今回は、私自身の受験経験を基に、試験の進め方【作図が先か、要点記述が先か】についてお伝えします。
資格学校でも意見が分かれる
今回の内容については、資格学校でも、教室単位で対応が分かれてます。
対応が分かれる理由は、受験者の習熟度の違いです。
学科合格直後の受験者と過年度学科合格の受験者では、製図の練習にかけられる時間が異なり、合格に向けて確実性を上げる方法を採用しています。
作図が先のパターンと要点記述が先のパターンのそれぞれで特徴があるため、自身の習熟度等に合わせた方法を選択すべきです。
それぞれのメリットを理解する
製図試験に占める所要時間の割合からすると、要点記述の時間が押してしまった場合、作図未完成のリスクが大きくなるため、所要時間が長い作図を先行してひと通りの作図を完了する方が、試験時間終盤をタイムマネジメントしやすいことが言えます。
また、空間構成ができていないことによるランクⅢ回避してから、ランクⅡ(不合格)にならずにランクⅠ(合格)になるためには、一定以上の密度がある要点記述が必要だと言われています。
そのためにも、タイムマネジメントを確実に行い、最終チェック以外に要点記述の時間を1時間程度確保して、しっかりとした内容の計画の要点を書く必要があります。
受験経験が浅い受験者のなかには、図面と要点で不整合を起こしてしまうことがあります。
それを防ぐためには、要点記述を先行することが有効になります。
また、受験経験が浅い受験者が未完成による失格を防ぐためには、図面との不整合を防ぎながら、ある程度の内容で計画の要点を完成させた方が、手戻りが少なく確実性が高い場合もあります。
試験進行の考え方
製図試験で最も避けたいのは、未完成による失格です。
そして、先述の通り、試験時間(6時間半)のうち多くを占める作図(2.5~3時間程度)の方が要点記述(1時間程度)よりも不測の事態が起こった際に未完成になるリスクが大きく、そのリスクを防ぐ方が合格に近づけると考えます。
また、図面と要点の不整合を防ぐために、課題文を読む際に万遍なく目を通すことを怠らない習慣をつけ、エスキス時に要点記述での回答内容を念頭に置いた計画ができれば、不整合にあとから気づくリスクを回避できます。
それらを考慮すると、作図先行の方が有効ではないかと思います。
なお、過去問や資格学校の練習課題を繰り返すことで、基本的な設問の記述内容を定番化させておくことは、記述時間を短縮する手段のひとつです。そして、出題傾向を掴んでおけば、課題文を読んだときにおおよその解答が浮かんでいれば、エスキス時に計画の要点の内容を反映させられます。
しかしながら、丸暗記は、解答時の思い込みを招いたり、設問の聞き方(切り口)が変わった時に正しく答えられなかったりするため、要注意です。