《一級建築士製図試験》【敷地サイズで読み解く試験問題の難易度】

一級建築士 製図試験

Ohashi / 建築技術研究所です。

エスキスについて学習が進んでくると、感覚的に出題者が求めていることが見えるようになります。

今回は、私がそう感じたものの中から、敷地サイズから読み解く、スパン割りについてまとめました。

  • 基本となる建物寸法が簡単に入る敷地の場合、計画の難易度は低い
  • 基本となる建物寸法よりも小さくなる敷地の場合、計画の難易度は上がる
  • スパン割りの選択肢が限られると内部計画は難しくなるが、スパン割りを検討する時間を減らすことができる
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判断基準

上図の寸法が、最もオーソドックスな建物寸法での敷地の大きさです。

建物寸法は、以下の寸法を基本とし、駐車場を考慮して道路側6m、その他2mのあきを設けています。

長辺入りの場合(上図左)
長辺42m(7m×6スパン)短辺28m(7m×4スパン)】

短辺入りの場合(上図右)
長辺42m(7m×6スパン)短辺30m(6m×5スパン)※】

※短辺入り5スパンの理由は後述。

大きな屋外施設が地上になければ、上図以上の敷地寸法であれば、最も簡単なパターンです。

建物と敷地境界のあき寸法は、斜線制限や地上の屋外広場のよって変わる場合があるため、その都度、検討が必要です。

スパンの調整

反対に、上図も敷地寸法が小さい場合は、建物のスパンを調整する必要があり、少し難易度が上がります。

スパンを短くする
 (例:6m×6スパン=36m、6m×4スパン=24m)

スパンを長くして、スパンを減らす(※)
 (例:8m×3スパン=24m)

目安として、スパンをすべて6mとしなければならない敷地寸法は、下図の通りです。
現実的には、すべて6mという課題は出ないと思われますが、どちらかの寸法が下図にある寸法の時は、6mを使うんだなと考えるとスムーズにエスキスできることもあります。

6m×4スパンと8m×3スパンは、ともに24mとなりますが、一般的に、スパンが多い方がプランはしやすいです。
室に大きさの指定がある場合に、8mで計画する方が、スムーズなときがあります。
また、標準解答例は、3スパンの計画が好きな傾向があります。
 

短辺入りの課題で、【5スパン】とする理由は、建物中央部からの出入りが可能になるからです。また、前述の通りスパンが多い方がプランはしやすいです。

資格学校では、このように教えています。
しかし、試験では、簡単に5スパンで計画できないように問題を構成され、難易度を上げています。

具体的な例

具体的に例を挙げれば、令和元年(10月)の試験です。
この年の問題は、短辺が32mでした。

敷地短辺寸法が32mのとき、両側2mのあきを考慮すると建物短辺の寸法は【28m】です。

この時点で、6mで5スパンとすることができなくなりスパンが7m×4スパンもしくは8・8・6・6となること、主出入口が中央部ではなく、どちらかに寄ることが分かります。

主出入口の位置については、別記事をご参照ください。

また、スパンが6・6・8・8のように変則の場合、過去の標準解答例の傾向からみれば、変則となるスパンはX・Yのどちらか一方の可能性が高いため、長辺側は均等なスパン割りになると予想ができます。

令和元年度の場合、敷地長辺寸法が48mのため、建物の長辺寸法は、【40m】が確保できる最大となります。
そのため、長辺のスパンは、6m×6スパン(36m)か8m×5スパン(40m)と予想できます。
(実際は、屋外テラス30㎡を考慮すると、6m×6スパンが妥当だったかと思います。)

このように、敷地の大きさによって建物寸法が制約を受ける、内部計画の難易度は上がりやすい傾向にあります。
一方で、スパン割りについては、制約を受けるだけ選択肢が少なくなり、考えることが減るため、時間を短縮することもできるようになります。

まとめ

  • 基本となる建物寸法が簡単に入る敷地の場合、計画の難易度は低い
  • 基本となる建物寸法よりも小さくなる敷地の場合、計画の難易度は上がる
  • スパン割りの選択肢が限られると内部計画は難しくなるが、スパン割りを検討する時間を減らすことができる
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