以前の記事で「図面を早く仕上げる方法」について書いていますが、これは、「考える時間」と「作業する時間」を分けることで図面を早く仕上げることができるとお伝えしました。
今回は、直接的な「作図スピード」を速くするための方法のひとつである【フリーハンド】について、お伝えしたいと思います。
- フリーハンドは、使いどころを見極める必要がある
- 「短い線」はフリーハンド
- 「長い線」は平行定規
- 包絡は気にする必要はないが、壁の交差部は注意が必要
フリーハンドは使いどころの見極めが重要
製図試験受験者にとって、いかに早く図面を描けるかは永遠の課題です。
皆様もご承知の通り、製図試験は、図面がきれいなら合格とうい試験ではありません。
そのため、平行定規による作図とフリーハンドを併用することが一般的になっています。
また、複数回の受験経験がある方なら、一度はすべてフリーハンドで描いてみたことがある人もいるかもしれませんが、作図時間は思うように縮まることはないばかりか、むしろ少し遅くなってしまうのではないでしょうか。
つまり、フリーハンドは、作図を速くする手段であると同時に、使い方次第では、作図が遅くなってしまう、「諸刃の剣」です。
それでは、どこまでが適正な使用範囲なのか、私の経験則から、お伝えしたいと思います。
「短い線」は積極的にフリーハンド
壁の端部やサッシの方立など(実寸)5mm程度の「短い線」は、フリーハンドの方が早くのではないでしょうか。
サッシの方立は、線の長さが揃っている方が図面の印象が良いです。
そのためには、線を引き終わるところに定規をあてると迷いなく、素早く線を引くことができます
また、机や椅子などの什器も時間に余裕がない方は、フリーハンドで良いと考えています。
ただし、あまりに線が歪んでいると、図面の見栄えに影響してしまうため、日頃からパーツトレーニングで練習しておきましょう。
フリーハンドの練習は、製図板がなくても可能なので、5mm方眼のノートさえ持ち歩けば、どこでも練習ができます。スキマ時間を活用しましょう。
「長い線」は平行定規
経験上、躯体や窓の断面線等「長い線」は、フリーハンドよりも平行定規による作図の方が速く描けると思っています。
特に、断面図の断面線は、平行な線が連続するため、道具の特性を大いに利用すべきです。
ここまでは、あくまで一般論です。
もちろん、すべて定規を使って早く作図できるに越したことはありませんし、反対に、フリーハンドでもきれいな線が描ける方もいるかもしれません。
自分の適性を見極めることも、この試験で合格するためには重要なことです。
そのためにも、学習時間を確保し、さまざまな方法を試してみてはいかがでしょうか。
線の包絡
最後に、作図方法を問わず注意したい点をお伝えしたいと思います。
試験では、一般的に平面図で柱と壁の包絡は行っていませんが、壁と壁や断面図の梁と床や壁の包絡もあまり気にする必要はありません。
しかし、一点だけ注意したいことがあります。
下図(右)のように、壁が十字に交差してしまうことです。
図面の表現としては、木造の柱になってしまうため、少なくとも、左側のようにはする必要があります。
まとめ
- フリーハンドは、使いどころを見極める必要がある
- 「短い線」はフリーハンド
- 「長い線」は平行定規
- 包絡は気にする必要はないが、壁の交差部は注意が必要