一級建築士試験に合格するためには、試験スケジュールから逆算して、決められた時期に一定以上の能力を身に付けている必要があります。
今回は、その中でも、長期製図講座を受講されている方が、製図試験に合格するために課題発表前にクリアしておくことが必要な4つのことについてお伝えします。
私は、長期製図講座の経験しかないため、この記事では、その経験を基にした内容としています。(プロフィール)
- 安定した作図速度
- エスキス手順の確立
- 基本的な要点記述
- 構造及び設備の基礎知識の定着
安定した作図速度
作図速度は、それ以前のエスキスを精神的余裕をもって進めるために必要です。
2~2.5時間で描き上げる能力を身に付けることが求められます。
一定の作図速度を会得しておくべき理由は、作図速度は、学科合格者(短期製図受講者)も1ヶ月もあれば、2~2.5時間で描き上げられるようになり、最終的に長期製図受講者と学科合格者(短期製図受講者)に差が生じないため、作図が遅い受験者は、合格から遠のくことになるからです。
(もちろん、その他の要素もありますが。)
エスキス手順の確立
エスキス手順の確立が課題発表前に必要な理由は、2つあります。
- エスキスの能力が短期製図受講者と差を付ける1つめのポイントになるから
- 発表後は、課題の特性に応じた知識の習得に注力したいから
差を付けるポイント
短期製図受講者の最初にして最大の脱落ポイントであるエスキスの手順を課題発表前に確立しておけば、試験を優位に進めることができます。
課題の特色に応じた知識の習得
どんなに優秀な長期製図受講者でも、課題の特色に応じた知識の習得に必ず時間をかける必要があるため、課題発表後にエスキス手順を確立させるための時間は取れません。(作図も同じことが言えます。)
基本的な要点記述
短期製図受講者は、作図やエスキスに多くの時間を使うことから、要点の練習に時間を使えない受験者が多いです。そのため、基本的な要点記述を覚えることは、長期製図受講者が短期製図受講者に差をつける2つめのポイントになります。
また、1つめのエスキスよりも差が付きやすいため、要点記述が長期製図受講者最大のアドバンテージになります。
構造及び設備の基礎知識の定着
構造及び設備の基礎知識は、エスキスの基礎になります。
覚えるべきポイントをそれぞれ挙げます。
構造
- 架構について(スパンの長さや片持ち梁の最大寸法)
- 基本的な躯体断面寸法
架構については、プランができてもそれが構造的に成立していなければ合格できません。
大空間で主として用いられるPC梁や、片持ち梁の構造的なNG例も多いので注意が必要です。
片持ち梁の最大長さについては、資格学校により若干違うようですが、3m程度が試験上は限界かと思われます。
設備
- 空調方式の違いとそれによるダクトルートや冷媒配管の違い
- PS・EPSのルート
「単一ダクト方式」と「パッケージ方式」の違い、また、パッケージ方式の中でも「床置き型」「天井隠蔽型」「天井カセット型」の違いも理解する必要があります。
そして、吹出口にも種類があり、それぞれ特性が異なりますので、空間に応じたものを選択できるだけの知識は必要です。
まとめ
長期製図講座を受講されている方が、製図試験に合格するために課題発表前にクリアしておくことが必要なことは、以下の4つです。
- 安定した作図速度
- エスキス手順の確立
- 基本的な要点記述
- 構造及び設備の基礎知識の定着