商業ビル等の一般建築を扱う会社に所属している方の中には、大卒であれば二級建築士は必要ないという人もいますが、私は、二級から一級の過程は必要だと思っています。
この記事では、「―必要ない」と言われる背景と、私なりの「二級建築士」の必要性についてお伝えしたいと思います。
- 建築士は、種類によって取扱える規模が異なる
- 令和2年から受験資格が「免許登録要件」に変更された
- 商業ビル等の一般建築を取扱う人にとって、二級建築士では優位性を得られない
- 一級建築士試験合格には、複数年かかる人が多い
- 大学在学中の試験勉強は、感性を養う時間を奪う
建築士の違いを知る
まずは、大卒者にとっての二級建築士の存在について考える前に建築士の違いを確認します。
建築士の違いは、下表の通りです。
二級建築士が設計することができる木造以外の建物規模は、300㎡以下となっています。
よって、非住宅の建築物を扱う建築士は、一級を目指す必要があります。
試験制度(建築士法)の改正
次に挙げるのは、受験資格(免許登録要件)です。
平成30年12月14日交付、令和2年3月1日に施行された改正建築士法によって、これまでの「受験資格」が「免許登録要件」に改められました。
大卒者に限った話をすれば、これまでの受験資格では、卒業後2年(※)の実務経験でしたが、これが免許登録要件に改められ、卒業直後の試験から受験できるようになりました。
※所得単位数により異なる場合あり
大卒者にとっての二級建築士
一部から「―必要ない」と言われる理由
先に挙げた通り、商業ビル等の一般建築を扱う建築士にとって、一級建築士でなければ設計可能な規模が制限されてしまい、実務上、資格の優位性を得られません。
また、建築士法改正前は、2年の実務経験の間に二級建築士を取得すれば、一級建築士の受験スケジュールに影響を与えませんでした。
(この時も資格学校の費用面から必要ないという人もいました。)
しかし、建築士法改正後は、二級建築士試験を受験することによって最短で受験する人と比べて、一級建築士試験の受験時期が遅れてしまいます。
これらによって必要ないと感じる人も一定数います。
受験者の実状
初回でストレート合格できるのは、優秀なひと握りの人です。
そればかりか、学科合格から3年のうちに合格できれば御の字ではないでしょうか。
資格学校に通っている中には、稀に、10年選手もいるくらいです。
そうした実情を踏まえると、一級建築士の基礎学習として、また、有資格者として少しでも早く活躍したいなら、二級から一級のステップを踏むべきだと思います。
二級建築士が簡単だとは思いません。しかし、一級建築士と比べれば、その難易度は大きく異なります。
二級建築士試験に合格して、1年でも早く「無資格」の期間を1年でも短くすることは、自分の活躍の場を増やすことに繋がると思います。
大学在学中の試験勉強
大学卒業直後に受験するということは、在学中から勉強を始めなければなりません。
しかし、社会に出れば、大学生の時ほど時間が取れることはありません。
時間があるうちに、さまざまなものに触れて、何かを感じることで養われる感性が、社会生活を送るうえで重要だと思いますし、このような体験が優先されるべきだと思います。
まとめ
- 建築士には、種類によって取扱える規模が異なる
- 令和2年から受験資格が「免許登録要件」に変更された
- 商業ビル等の一般建築を取扱う人にとって、二級建築士では優位性を得られない
- 一級建築士試験合格には、複数年かかる人が多い
- 大学在学中の試験勉強は、感性を養う時間を奪う