建築技術研究所 です。
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今回は、前回の記事に引き続き、学科Ⅳ(構造)の過去問の中から、たわみ量の比較について、試験的な考え方を解説します。(R4年度No.2)
著作権等の理由から本記事では、試験問題を掲出しておりません。
以下のリンクより過去の試験問題等(公益財団法人建築技術教育普及センター)をご参照ください。
- 計算しない
- 選択肢を有効活用する
計算しない
R4年No.2は、前回の記事でお伝えしたR1年No.2の類似問題になります。
R4年の問題では、R1年の問題と異なり、たわみ量の大小だけを比較すればよいため、具体的な計算が必要なく、イメージさえできれば正答できます。
『Don’t think. Feel!』です。
問題の基本的な進め方は、R1年の問題と同じく、断面二次モーメント[I]を比較すればよいです。
(以下の公式のうち、集中荷重[P]、長さ[L]、ヤング係数[E]は等しく、たわみ量の比較に影響しないため、考慮しません。)
ここで注目するのは、【断面寸法】と【選択肢】です。
断面二次モーメントは、下式の通り、部材せいの3乗に比例し、部材幅よりも部材せいが影響することから、梁Cは、梁A及び梁Bと比べて部材せいが大きいため、断面二次モーメントが最も大きいことが分かります。
つまり、断面二次モーメントの逆数となるたわみ[ δC ]は、最も小さくなります。(前回記事『基本的な考え方』参照)
選択肢を有効活用
ここで、選択肢1.~4.を確認します。選択肢は、以下のようになっています。
- δA<δB=δC
- δA=δB<δC
- δB=δC<δA
- δC<δA=δB
選択肢を確認するときに注目するのは、前項の通り、[ δC ]が最も小さくなっているかです。
選択肢1.及び2.は、δCが、δAもしくはδBのたわみよりも大きくなっているため、不適当です。
次に、選択肢3.は、δCが、δAよりも小さくなっていますが、δBと等しいことになっています。
梁Bは、梁Cの部材の半分のものが2つ重なっている(幅は2倍)ため、断面二次モーメントが3乗に比例することを知っていれば、等しくなることはないとイメージできると思います。
(実際に計算すると、IB=a4/2、IC=2a4)
そのため、選択肢3.は不適当です。
選択肢4.は、δCが、δA及びδBのたわみよりも小さくなっており、そのような選択肢がひとつしかないため、正答肢であることがわかります。
なお、計算するとδA=δBとなるのですが、適当な選択肢が4.しかないため、検討する必要はありません。
まとめ
- 計算しない
- 選択肢を有効活用する